千晩籠って追った大鹿と死助権現
どんな伝承か
鶴は仙盤ヶ岳に古い鹿がいると聞き、神に祈って山の大石の上で待ち続けた。九百九十九晩を過ごした千晩目の真夜中、山鳴りとともに額に小松が生えたような十二叉の角を持つ大鹿が現れた。撃った弾は確かに当たったが鹿は倒れず、山を越え谷を渡ってある嶺の頂で倒れた。皮を剥ごうとすると起き上がってまた逃げ、笛吹峠のあたりで姿も足跡もかき消えた。ただの鹿ではないと山頂に祠を建てたのが死助権現で、千晩籠った山を千晩ヶ岳と呼ぶようになったという。
原典より
千晩籠った故に其の山は千晩ヶ岳、鹿の片羽を剥いだ山をば片葉山と称して—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。