北方永万寺のオハチ回りと本山参り
どんな伝承か
小倉南区北方では永万寺(浄土真宗)を中心に昔からさまざまな行事が伝わる。寺には院家と伴僧がおり、伴僧は十株の法中に分かれ、檀家はそれぞれの法中と個人的につながる。稲刈りが終わると「オハチ回り」といって永万寺の僧が托鉢に回り、「荷持ち」と呼ばれる信者が一日中付き従った。一軒から三合から一升の米が出て、一日で八斗ほどにもなり、足がこわばったという。托鉢の範囲には「ひき持ち」という縄張りが決まっていた。門信徒は昔から京都の本山へ納骨する習いがあり、納骨する寺を白骨寺と呼ぶ。本山参りは「バン」という案内役の僧が団体を率いた。寺と檀家は極めて親密で、嫁入りや小作料の支払いにも口添えしてくれたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
『北九州市史 民俗』は、北九州市が編んだ市史の民俗編である。ここに収めるのはその第三編「信仰伝承」第一章「信仰」の第二節以降で、門司・小倉・若松・八幡・戸畑の各区に伝わる聖地と忌地、神仏信仰、神事と法会、巡礼、巫者・祈禱師、信仰集団、狐憑きや犬神などの憑霊・霊異現象を記す。節ごとに地区と地名を挙げて事例を並べる編み方で、祟る石や産女石、落人の墓なども忌地の項に見える。