夢を買った山弥長者の末路
どんな伝承か
府内の山弥長者こと守田三弥助は貧しい家に育ち、行商で暮らしていた。日向からの帰り、宗太郎峠でまどろむ友人の鼻に熊蜂が出入りし、大木の根元の洞に飛び込むのを見る。目覚めた友人が、金蠅を追って黄金の洞穴に入った夢を語ったので、三弥助はその夢をただで買い受け、蜂の飛んだ方角を頼りに山を歩き続けた。五年目に大野郡の傾山北方の山中で白銀を掘り当て、海外交易で巨富を築いて府内に豪邸を構えた。だが城主日根野吉明は長者の不正と傲慢を憎み、正保四年の祝宴で足を上げて天井を指した無礼を咎め、一族もろとも処刑した。長者は府内に長者は育つまいと呪って死に、吉明にも跡継ぎが生まれず領地は召し上げられたという。
原典より
怨みの言葉を残して守田三弥助は多彩な一生を終わった。—— 大分県の民話 第2集(土屋北彦・大分県の民話) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大分県の民話 第2集(土屋北彦・大分県の民話)
『大分県の民話 第2集』は、土屋北彦による大分県の民話集である。日田の鬼大夫永季、府内の山弥長者、柞原八幡縁起、小豆研ぎ、百合若物語りなど、県内各地の長者譚・社寺の縁起・人柱・妖怪・英雄の伝説を、古代から江戸時代までの年号や現在の市町村名を添えて語り直す。三十二話を一話ずつ題を立てて並べ、多くは「です・ます」の語りで、方言による短い昔話も交じる。