夜ごと若者を呼ぶ声タンポコタン
どんな伝承か
大野郡三重町の新田地区高寺に、嫁をもらわず一人で暮らす太郎兵衛という若者がいた。ある晩、窓の外でコトリと音がして「たーろーベーはたんぽこたん」と呼ぶ声が続き、太郎兵衛は背筋が冷えて立ち上がれなくなった。物知りの森右衛門に相談すると、魔性に魅入られたのだから、若者を集めて順番に「そういうものこそたんぽこたん」と言い返し、口争いで負かせと教えられた。次の晩、五人が交代で応じ続けると相手の声は次第に弱り、ついにヒーヒーとしか言えなくなった。外を見ると毛の抜けかけた古狸が息も絶え絶えで、その夜はたぬき汁にした。太郎兵衛は間もなく嫁を迎えたという。
原典より
そこで一同が外に出てみますと、毛もろくすっぽに生えていないような古狸が息絶えだえになっていました。—— 大分県の民話 第2集(土屋北彦・大分県の民話) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大分県の民話 第2集(土屋北彦・大分県の民話)
『大分県の民話 第2集』は、土屋北彦による大分県の民話集である。日田の鬼大夫永季、府内の山弥長者、柞原八幡縁起、小豆研ぎ、百合若物語りなど、県内各地の長者譚・社寺の縁起・人柱・妖怪・英雄の伝説を、古代から江戸時代までの年号や現在の市町村名を添えて語り直す。三十二話を一話ずつ題を立てて並べ、多くは「です・ます」の語りで、方言による短い昔話も交じる。