鉦の音が七日続いた六部の入定塚
どんな伝承か
秩父市太田に、回国供養の六部が入定したと伝わる塚があり、生入塚とも呼ばれる。六部は諸国を巡る大願を果たし終えると、近くの人に頼んで墓穴を掘らせ、鉦と水を携えて棺に入った。節を抜いた竹を棺に差して地上へ通し、そのまま土をかけてもらったという。塚の中からは念仏を唱える声に合わせて鉦がかすかに鳴り続けたが、七日目に音は絶えた。塚の形は数年前まで残っていたが、いまは畑になって平らだという。近くの皆野町国神にも、夕方に通ると今も鉦の音が聞こえるという入定谷がある。
原典より
この塚からは、かすかな鉦の音が念仏の読誦に和して聞えたが、七日目にその鉦の音は聞えなくなったという。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。