竜宮へ通じる大渕の氷ノ雨塚
どんな伝承か
皆野町大渕の畑の中にある氷ノ雨塚は、中が空洞で、入口は六尺四方ほど、奥行き二間、石を積んで上に大石を渡した造りで、昔は中から古い刀が出たが皆折れていたという。この塚には隠れ里の話がある。中の一坪ほどの石の下の穴は竜宮まで通じているといわれた。ある朝、村の者たちが見慣れない男に導かれて穴を抜けると、金銀宝石で飾られた竜宮のような所に出た。もてなしを受けた帰りに、美しい女から食べれば二百年生きられるという人形のような品を十人それぞれもらった。洞門をくぐるともう塚に戻っていたが、一人が十人分を食べてしまい、その男だけが二千年も生きたという。
原典より
土産物については、彼等の中の一人が、十人分の土産を食べてしまったので、その男だけが二千年の長生きをしたという。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。