捨てられた娘をまつる女郎仏
どんな伝承か
川口市の妙延寺にまつられる女郎仏は、広く名の知られた仏である。寛政のころ、気品のある十八、九の美しい娘が病のために土手山という官林に捨てられ、手当てのかいもなく亡くなったので、手厚く葬られたという。下の病に霊験があるとされ、遠くからも参る人が絶えなかった。娘は落人とも、越後新発田藩主の落とし子ともいわれる。最初に見つけた差間の人が看病しなかったので、差間の人にはご利益がないともいう。参る人々は念仏踊りを奉納した。
原典より
十八、九歳の気品の卑しからぬ美しい人が、病んで土手山という官林に捨てられた。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。