妙見の化身に負けた西行戻しの橋
どんな伝承か
昔、西行法師が歌の腕を自慢しながら旅を続け、秩父市大野原の上小川橋まで来たとき、一人の娘が現れた。どこへ行くのかと尋ねると、娘は「冬ほきて夏霜枯れの草かりに」と歌で答えたが、西行にはその意味が解けなかった。こんな小娘でも難しい歌をたやすく詠む土地なのかと恥じ入った西行は、旅をやめてそこから引き返したという。この娘は、慢心した西行を戒めるために秩父の妙見さまが遣わした化身だったと伝えられている。
原典より
この西行を苦しめた少女は、秩父の妙見さまの化身で、妙見さまは自慢する西行を戒めるために、ここまでつかわしたものだという。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。