姉妹神が争う西堀・田島の泣き節句
どんな伝承か
浦和の田島の氷川さまを下の宮、西堀の氷川さまを上の宮という。十月五、六日の田島の節句と六、七日の西堀の節句の三日間は、毎年必ず雨が降るので「西堀、田島の泣き節句」と呼ばれる。二社の神は姉妹で、上に祀られるはずの姉が下の宮に置かれ、社も妹の宮より粗末なので仲が悪く、祝い日には姉の涙が雨になるのだという。姉宮の悔しさはそれだけでは収まらず、馬で下の宮前の橋を渡る参詣人が落馬したり馬が蹄を割ったりする事故が絶えなかったので、狭い石橋に架け替えて馬では参れないようにしたという。
原典より
だから節句の祝い日には、姉の涙が雨となって降るのだという。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。