盲目の巫女が語るオシラサマ
どんな伝承か
東北のオシラサマは、現在は殊に地域ごとの変化が大きい。美しい姫と名馬との恋語りは伝わっていながら、以前はもとより今も多くの村では蚕飼いが盛んでなく、その豊産を祈る行事はない。ただ毎年定まった日に家々のオシラサマを遊ばせる、あるいはホログとも称して、回ってくるイタコという盲目の巫女が、こうした語りものを持っていたのである。八戸市の郷土史家小井川潤次郎が久しくこの問題に注意しているが、外南部一帯のかなり広い区域では、オシラ遊びの式日は正月を加えて年に三度、もしくは三月九月の十六日、すなわちこの地方でいう農神降りと農神上りの日であって、それゆえオシラ様は農神のことだと思っている人も少なくないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第1巻』は、柳田国男の著作を集めた著作集の一巻である。椰子の実の漂着から日本人の渡来と稲作を海の道に求める論考と、海神宮考・みろくの船・根の國の話・寶貝のこと・稻の産屋などの諸篇、大正期の南島旅行に基づく『海南小記』、昭和二十六年八月の自序をもつ『島の人生』を収める。いずれも海と島を舞台に、ニライカナイや宝貝、漂着や島の復興をめぐる民俗と歴史を論じている。