与那原の浜に降った天女三人
どんな伝承か
南の海の島々ほど昔から天降りの盛んだった所はなく、大事の起こる時や信仰の衰えようとする時に、万人がそろって神の姿を拝んだという記録が段々にある。今から百七十年前の宝暦年間にも、前年に東宮が上陸された与那原の浜に天女三人が降り、多くの人に拝まれ、水などを浴びて長く遊んだと、大島筆記その他の本に述べてある。個々の信者の見聞ではないだけに、普通の幻覚とも断じきれない。著者はこれを、神に扮した村々の祝女による特殊神聖な演劇ではなかったかと考えた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第1巻』は、柳田国男の著作を集めた著作集の一巻である。椰子の実の漂着から日本人の渡来と稲作を海の道に求める論考と、海神宮考・みろくの船・根の國の話・寶貝のこと・稻の産屋などの諸篇、大正期の南島旅行に基づく『海南小記』、昭和二十六年八月の自序をもつ『島の人生』を収める。いずれも海と島を舞台に、ニライカナイや宝貝、漂着や島の復興をめぐる民俗と歴史を論じている。