久高島の刀自定め(花嫁の逃走)
どんな伝承か
久高の島では最近まで刀自定めという習慣が行われていた。人の妻となる者は必ず祝言の席上から逃げ走り、十日二十日の間、新郎に捕えられぬよう努めねばならなかった。周囲一里とすこしの小島の内ではあるが、御嶽の中には男子が憚って入らぬため、そこへ逃げ込めば何日でも捕まらずにいられた。今の外間のノロクモイは七十二日の間見付けられなかったと自慢しているという。新郎は多くの友人の助力を頼んで血眼になって捜し回り、捕えれば髪の毛を鷲づかみにして手荒い折檻をするのが作法で、早く捕まった花嫁はみだらな女のように嘲られたと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第1巻』は、柳田国男の著作を集めた著作集の一巻である。椰子の実の漂着から日本人の渡来と稲作を海の道に求める論考と、海神宮考・みろくの船・根の國の話・寶貝のこと・稻の産屋などの諸篇、大正期の南島旅行に基づく『海南小記』、昭和二十六年八月の自序をもつ『島の人生』を収める。いずれも海と島を舞台に、ニライカナイや宝貝、漂着や島の復興をめぐる民俗と歴史を論じている。