桑ではなく竹で作るオシラガミ
どんな伝承か
盲目の按摩の孫は眼元の涼しい佳い児で、その名を「あきら」といった。あきらの母は声が太く嗄れた聡明な二十八、九の婦人で、大工の道具箱ほどの箱を紺麻の風呂敷に包んで持っていた。盛岡近辺のいたこはあの中にオシラサマという物を入れており、不思議な力があると話しかけると、按摩は少しせき込んで、オシラサマならこのあたりのおかみも皆所持しています、桑の木などで拵えるのは道の上から申して正しいものではありますまい、オシラは竹と決まったものです、と言った。桃生郡には竹のオシラガミがあるのだった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第2巻』は、柳田国男の紀行と旅の随筆を収めた著作集の一巻である。昭和三年一月の自序に続く「雪国の春」や菅江真澄の日記を読み解く文をはじめ、東北の村々の正月、火と炭、浜の暮らしの見聞、「秋風帖」「東国古道記」、昭和十五年十一月の自序を持つ「豆の葉と太陽」などの紀行を並べる。峠や古道、佐渡・五箇山・熊野などの土地を、住む人の暮らしと信仰から見ようとする文が多い。