西津軽の浜から望む男鹿の神山
どんな伝承か
柳田国男は八年前の初秋、一人で西津軽の浜を南へ向かって歩いた。大間岬の突端で道が一つ曲がると、背後の松前の山々と小島大島は隠れ、かわって沖遠くに男鹿の神山が現れる。深浦・岩崎・森山のあたりまで来ると、七里の長浜が波の上に浮かんで見えた。天衣無縫という語が思い出されるほど伸びやかな外線で、津軽の浦人たちが男鹿を神仙の居と想像し、登って拝せずにはいられなかった動機もそこにあるのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第2巻』は、柳田国男の紀行と旅の随筆を収めた著作集の一巻である。昭和三年一月の自序に続く「雪国の春」や菅江真澄の日記を読み解く文をはじめ、東北の村々の正月、火と炭、浜の暮らしの見聞、「秋風帖」「東国古道記」、昭和十五年十一月の自序を持つ「豆の葉と太陽」などの紀行を並べる。峠や古道、佐渡・五箇山・熊野などの土地を、住む人の暮らしと信仰から見ようとする文が多い。