碁の音と思えば榛の実を咬む音
どんな伝承か
真澄は湯の台という寒村で、言いようもないあばら屋に一宿した。ところが夜が深くなるまで板戸の向こうで、ぱちぱちと碁を打つ音がする。こんな山村に意外なたしなみだと思って、後でよく見ると、それは家の小児が寝ながらハシバミの実を咬む音であった。雪の飽田根には、このような微細な観察が数限りなく拾える。真澄の文章には屡々微笑を催すような滑稽があって、それがこの古風な描写法に始終活気を与えているのである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第3巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第3巻』を全158話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。