越後桑取山の狒々を鉄砲で仕留める
どんな伝承か
和訓栞の狒々の条には、安永以後のある年に伊賀と紀州にこの物が現れたことに続いて、天和三年に越後の桑取山で鉄砲で撃ち取ったものは大きさ四尺八寸であったと述べている。柳田は、近世に各地で遭遇し、あるいは捕らえて殺した、猿に似てそれよりはるかに大きい一種の動物を人がヒヒと呼んでいたことだけは疑いないとしつつ、こうした怪獣の記事は江戸期の随筆に往々見え、伝承の際に誇張があったらしく、獲物が本当に狒々かどうかを究める前に、そもそもそんな動物があり得るかを問わねばならないと述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。