上州伊香保・海尊伝授の下駄灸
どんな伝承か
天明の初年、上州伊香保の木樵が、常陸坊海尊から伝授を受けたと称して下駄灸という療治を行ったことが『翁草』巻百三十五に見えている。この木樵も、義経の旗持ちであったのがこの山に入って自分もまた地仙となったと語ったという。柳田国男は、東北各地に住んだという海尊の仙人譚と同じ型であり、下駄だの灸だのという近代の生活にまで、昔の奥浄瑠璃の年久しい影響が痕を留めているのは懐かしいと述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。