山の神の産を介抱したマタギ
どんな伝承か
佐々木喜善の東奥異聞には、陸中の上閉伊郡と羽後秋田郡のマタギの村とに、同じ話が口伝として残っていると報告されている。羽後の方では八人組と十人組という二組のマタギがあり、一方は産の忌を恐れてすげなく断ったのに対し、他方は小屋の頭がただの女性ではないと見て快く泊め、小屋で産をさせて介抱をした。陸中の山村では猟人の名を万治磐司といい、磐司が独り血の穢れを厭わず親切に世話をすると、十二人の子を生んだと伝える。いずれも山の神がその好意をめでて、後々まで山の幸を保障したことは同じであった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第4巻』を全822話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。