豊橋の東海道を走る大男
どんな伝承か
今から百五十年ほど前、三州豊橋の町で、深夜に素裸ではだしの大男が東海道を東へ向かって走るのを見た者があったという。その速さは尋常でなく、朝日が昇るころにはもう浜名湖の向こうまで行き着いていた。水中に飛び込んで魚を捕らえ、生のまま食べているのを見て、人々は初めてそれが怪物であることを知ったと、豊橋の人物が著した『中古著聞集』という書物に記されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。