越後堀之内・竹助を助けた焼飯好きの山人
どんな伝承か
越後魚沼郡の堀之内から十日町へ越える山中七里の間道でのことである。ある年の夏の初め、十日町の縮問屋から堀之内へ急ぎの荷を送ることになり、竹助という剛夫が荷を負って出た。道半ばで石に腰掛け焼飯を食べていると、谷合の根笹を押し分けて猿に似て猿でないものが来た。頭の毛が長く背に垂れて半ばは白く、眼は大きく光っていた。焼飯を投げ与えると嬉しげに食い、やがて荷物を軽々と肩に掛けて先に立ち、険阻な山路を一里半ほど、池谷村の近くまで運んで卸すと風のように山へ登って行った。天保より四五十年前の事だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。