赤痣の乞食の生まれ変わりと地主の破産
どんな伝承か
明治の初めのこと、松之山町の小谷集落に、兼勧進とあだ名される乞食が住んでいた。右頬に赤い痣があったので赤痣勧進とも呼ばれた。ある正月、浦田口の田辺の旦那と呼ばれる大地主の家へ物乞いに行くと、正月早々縁起でもないと使用人たちに打ちのめされて追い返された。兼勧進はこれを恨み、生まれ変わってこの家の身代をつぶしてやると言い残して数日のうちに死んだ。数年後、田辺の家に右頬に赤痣のある男の子が生まれ、その子が育つにつれて広い山林を持っていた身代はみるみる減り、やがて破産して一家の行方も知れなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。