白山の泰澄大師開山伝説
どんな伝承か
五鬼のような人々が平地の村から移住した者の末でないことは自他ともに認めるところで、大昔の山人との関係は不明ながら山の信仰に深い根を持つ。そこで柳田は、箱根・鳳来寺・伊吹山・榛名山・羽黒・熊野、そして加賀の白山などに伝わる開山の仙人の事跡を考え直す必要があるという。白山の泰澄大師は奈良の仏法とは系統が別だとされ、前田慧雲師はこれを南洋系の仏教と呼んだが、その根拠は知らないと断る。今の山伏道も聖宝僧正より前は教義も作法も不明で、始祖の役小角を仏教徒と認めることすら容易でなく、仙術すなわち山人の道が別に存在したという推測も成り立つと述べる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。