死の数日前に尋静が見た極楽の迎え
どんな伝承か
平安時代の貴族や僧たちの往生は、光の国に迎え入れられるものとして描かれていた。『今昔物語』によれば、比叡山横川の尋静という僧は、亡くなる数日前に次のような夢を語った。大きな光のなかに尊い僧たちが大勢現れ、美しい宝で飾った手車を携えて、妙なる音楽を奏でながら西の方の空に浮かんでいる。これはきっと極楽からの迎えだろう、というのである。著者は、当時でいう阿弥陀の観想にあたるこの体験を、現代の精神医学でいえば臨死体験にあたるものだとしている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
異界巡礼(小松和彦)
『異界巡礼』は、小松和彦が著した民俗学の論集である。狐が人に化ける方法と如意宝珠、蓮如絵伝の異人、鬼退治譚と怨霊、家の盛衰をめぐる民話、夢信仰、巫女と陰陽道、洞窟や龍宮の他界観、人を神に祀る信仰、神隠しなどを、昔話・説話・絵巻・お伽草子と高知県物部村などでの調査をもとに論じる。論考と随想を部に分けて並べ、「民俗のランドスケープ」の部には妖怪、凧上げ、祓い、霜月祭り、呪い人形をめぐる小文を収める。