立埋め場の椿でムジナが撒く砂
どんな伝承か
語り手の本家へ曲がる角には竹やぶがあり、その周りに椿の木が生い茂っていた。角は今より二間ほど高い山で、その上に庚申様が祀られており、向こうから来て曲がると何となく気味が悪いと言われた。昔そこの泥を馬力で小岩の埋立地へ運んだとき、考古学を学ぶ人も来て、生きた人間を穴に立ったまま埋める立埋めの跡が出たという。語り手も子供のころに見に行き、人が立ったままの形で残っていたのを覚えている。人々は椿の木のそばを通るのを怖がったが、語り手の家では自分の屋敷なので気にしなかった。調べてみると夜にムジナが椿の木に登り、尻尾につけた砂をぱらぱらと落として、雨が降ったように人を驚かせていたのだった。
原典より
7 ドブロクの話 (1)〜(4)8 蛇の祟り9 昔の馬鹿嫁10 最近の嫁11 肥料屋の船頭が川へ小便をした話12 兵隊の西瓜泥棒13 「召集せず」の証書14 縁切鋏〔行徳・南行徳〕—— 市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。