西瓜畑に銃剣を落とした兵隊
どんな伝承か
語り手の家では練兵場のそばに西瓜畑を作っていた。ある夜、兵隊が西瓜を盗みに来て、腰に吊った剣の中身だけを落としていった。鞘は革で締めてあるので落ちないが、刃だけが抜け落ちたのである。軍隊の物だから届けようと拾っておいたところ、翌日兵隊がやって来て、腹が減って西瓜をいただいたが剣を返してほしいと謝った。西瓜の二つや三つで人を悪者にしても仕方がないので、どうぞと返してやったという。憲兵は来なかったが、失くしたことが分かれば軍法会議なので、兵隊は朝から慌てて方々を捜し歩いたのだろうと語り手は言う。銃の先に着ける短い剣だった。
原典より
13 「召集せず」の証書14 縁切鋏〔行徳・南行徳〕15 お夏狐16 子狐と赤ん坊17 海老天の好きな狐18 狐の嫁入り20 火つけとタバコ屋稲荷—— 市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。