子狐を殺した作兵衛と甕の中の赤ん坊
どんな伝承か
南行徳の邨島菊次郎が、祖父から聞いた話として語る。祖父が子供だったころ、この香取で本当にあったことだという。そのころこの辺りでは塩作りが盛んで、塩田で働く人夫も大勢いた。作兵衛という人夫が仕事帰りに生まれたばかりの子狐を見つけ、日ごろ狐の悪さを恨んでいたので、すぐに殺してしまった。その晩、隣に寝かせていた赤ん坊が消え、翌朝、手水場の甕に逆さに突っ込まれて死んでいた。子狐の親の仇討ちに違いないと、夫婦は赤ん坊の墓のそばに新しく稲荷を建てて狐を祀り、それからは狐も村の者に悪さをしなくなったという。
原典より
17 海老天の好きな狐18 狐の嫁入り20 火つけとタバコ屋稲荷21 タマヤの狐22 新場の狐 (1)〜(2)23 狐に化かされた話 (1)〜(2)24 化け松 (1)〜(5)25 ムジナが化けて出た話—— 市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。