妙覚寺の梅の木で婚礼の御馳走を取られた祖母
どんな伝承か
行徳の妙覚寺には昔、梅の木がたくさんあり、夕方遅くなるとそこに狐が出るので子供は近づくなと言われていた。金ちゃんの家の祖母が婚礼の帰り、御馳走を土産に歩いてくると、梅の木の近くで可愛い女の子が現れ、うちへ寄っていけと誘った。祖母は段々のある家に上がったつもりで話し込み、叱られるからと帰ってきた先は梅の木のそば。家の者が手分けして探していると、祖母は卒塔婆の多い所から腰に手をやって出てきた。女の子の家と思ったのは石塔が三段重なった場所で、祝言の料理の空箱が石塔の裏にあった。何も飲まされなかったのは幸いで、あの辺りではよく御馳走を取られる人がいたという。
原典より
国分新田(いまの北国分)なんかで、祝いごとに招ばれて、帰りにみやげなんかもらって、いっぱいきげんで練兵場のあたりをふらふら歩いてくると、よく狐に化かされたという話は聞きましたね。—— 市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。