産婆の帰りに提灯へ青い顔を出したムジナ
どんな伝承か
行徳の大東つぎが語る。ゲンコの婆さんは産婆をしていて、昔は産婆がいないので、その人があちこちで取り上げてやっていた。ある晩、取り上げに行った帰り、十二時ごろのことで、真っ暗なので提灯をつけて帰ってきた。その提灯の中をちょっと覗くと、青い顔をした者がこうやって手を出していたという。びっくりして提灯を放り出し、逃げて来た。それでもゲンコの婆さんは産婆をするくらいで度胸がいいので、大急ぎで戻ってみると、なるほど物がみな放り出してある。それを婆さんが皆もらって持って来たそうだ。ムジナが脅かしたのだろうと語る。
原典より
ゲンコのお婆さんが産婆さんしてただって。—— 市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。