田圃に囲まれた新田のムジナとゆうれい畑
どんな伝承か
行徳の新田は、二丁目へ行くにも三丁目へ行くにも四丁目道を通るにも妙典へ行くにも周りが田圃ばかりで、島のようになっていた土地だという。だから夜は出歩けず、若い者も歩かなかった。四丁目の横町稲荷では油揚げを買いに行って取られたことがあり、四丁目道が一番寂しかった。夕飯を食べて風呂に入ったら寝るだけの暮らしだった。屋号ハズレの家の裏には木がずっと植わっていて、ムジナはどこから出たのか分からない。あの辺りはゆうれい畑と呼ばれ、ノジマの家の前には『ゆうれい』という屋号の家もあったと語られる。
原典より
提灯置いて逃げて来たのは、お婆さんじゃねえだよ、お爺さんだよ。—— 市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。