酒で腹を刺した侍を祀る咳の神腹切様
どんな伝承か
国分の山崎尤三が語る。家を出てすぐ、電柱のところに小さな神様が祀られている。昔の侍が酒を飲んで腹を刺したところだというので、そこを腹切様と呼ぶのだという。風邪をひいて咳が出るとき、この神様に七回続けてお参りして願をかけると治り、治ると竹をこれくらいの長さに切って半分に酒を入れ、灯をともして供えた。語り手の子供の時分には年中供え物が上がっていた。今でも信心深い人は湯飲みで酒を供え、一週間願をかけるとどんなひどい咳でも治るといい、遠くからもお詣りに来る人があると語る。
原典より
そこ、家出るとすぐ、電柱の所に小さな神様があるんでしょ。—— 市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。