里見弘次の娘が泣き明かした夜泣石
どんな伝承か
市川市国府台の総寧寺境内にある石の話。里見公園に隣り合うこの一帯は、戦国期に北条氏と里見氏が戦った国府台合戦の古戦場である。戦いが終わって間もなく、ここで討死した里見弘次の末娘が父の霊を弔うため、はるばる安房から訪ねてきた。まだ十二、三歳の娘はこの石にすがるようにして幾日も泣き明かし、ついに息絶えた。その夜から石が悲しげな泣き声を発するようになり、人々は夜泣石と呼んだ。のちに供養を行ってからは声が止んだと伝えられている。
原典より
里見公園に接するこの寺の一帯は、戦国時代に有名な北条・里見の合戦があった場所である。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。