宿の宴で笛を吹いていた勘解由どんの白猫
どんな伝承か
富津市小久保での話。昔、勘解由どんという家の旦那が成田詣りに行き、帰りに八幡で宿をとったところ、隣の部屋でにぎやかに酒盛りをしている。聞いていると「小久保のかげえどん、笛を吹け」といっている。不思議なことだ、小久保の勘解由どんとは自分のことだがと思っていると、今日は晩飯が遅く熱いおじやで舌をこがしたからうまく吹けない、などといいながらも、やがて上手な笛の音が聞え、尋常でない騒ぎの宴が続いた。翌朝急ぎ帰って話すと、家の白猫に昨夕できたてのおじやをやったという。そう聞くと白猫はどこともなく姿を消し、二度と帰らなかった。
原典より
昔、勘解由どんという家の旦那が成田詣りに行き、帰り八幡に宿をとったところ、隣の部屋でにぎやかに酒盛りをしている。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。