女房が教えた枡組と棟上式
どんな伝承か
我孫子市根戸新田に伝わる話。腕がよいと評判の棟梁が、大きな仕事で柱を一本短く切りすぎ、途方に暮れていた。家に帰ると女房が、その柱は軒に使い、上に枡形の木を置いて肘木で支える組物にしてはどうかと教えた。棟梁は喜んでそのとおりに細工し、無事に仕事を納めた。ところがのちに、腕自慢の自分が女房に枡組を教わったと知れては恥だと考え、闇にまぎれて女房の首を斬り落とした。首は北へ飛んでいったという。棟梁は後悔し、以来この地では棟上げの折に、女の化粧道具や櫛を供え、弓を北へ向けて立てるようになったと伝える。
原典より
これは我孫子市根戸新田に伝わる話である。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。