弘法大師が足を継いだ犬とごとく
どんな伝承か
富津市の富津のあたりに、犬の足の由来を説く話が伝わっている。むかし犬の足は三本しかなく、思うように動けなかった。情け深い弘法大師はその姿を哀れに思い、囲炉裏のごとくは四本足でもどうせ動かないのだからと話をつけ、その一本を譲り受けて犬に継いでやったという。おかげで犬は四本足になり、自在に駆けまわれるようになったが、ごとくのほうは以来三本足になった。だから犬は大師にもらった足を大切にして、後ろ足を上げて小便をするのであり、荒い犬にも大師の情けを忘れるなと言えばおとなしくなるという。
原典より
ことし(昭和四十五年)はイヌ年である。—— 房総の年輪 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の年輪
『房総の年輪』は、房総各地の伝説・昔話・信仰の伝承地を一項ずつ取り上げた短い文章を集めたもので、著者と刊行の事情は原典に記されていない。香取の要石や真間の手古奈堂、松虫姫、源頼朝や義経の伝説地、沈鐘伝説、椀貸伝説、河童や天狗、海の怪異「もうれん」などを、『譚海』『上総国誌稿』や市町村の民話集を引きながら所在地とともに記す。各項は読み切りの小文で、昭和四十五年と四十七年の年頭に書かれた項を含む。