盗人を気絶させた太宗寺の閻魔の目玉
どんな伝承か
内藤新宿の太宗寺の閻魔堂には、高さ五メートル余りという、江戸で最も背の高い閻魔像が据えられている。弘化四年の三月六日、この堂に盗人が忍び込み、閻魔王の目にはめこまれた水晶の目玉をえぐり取ろうとした。ところがその瞬間、目玉がまばゆい光を放ち、盗人はその場で気を失って倒れてしまった。これこそ仏罰だというので、盗人はすぐに捕らえられた。この出来事は大きな評判を呼び、国輝らが描いた一枚刷りの絵が飛ぶように売れたという。閻魔の目玉は純金でできているとか、ふだんは偽の首にすげ替えてあるといったうわさも、この騒ぎから生まれたものらしい。
原典より
というのは弘化四年(一八四七)三月六日、ここに盗賊が忍び込み、閻魔王の水晶の目玉を、くり抜こうとしたら、たちまち目玉が光明を発し、盗賊は気絶してしまった。—— 新宿と伝説(新宿区教育委員会・1969年(昭和44年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新宿と伝説(新宿区教育委員会・1969年(昭和44年))
『新宿と伝説』は、新宿区教育委員会が昭和四十四年に編んだ区内の伝説集である。カッパが出る坂、四谷怪談のお岩、矢来町の化け石、女幽霊が掘った清水など、牛込・四谷・戸塚大久保・新宿・淀橋柏木落合の各地に伝わる六十二の伝説を、江戸の地誌や随筆などから採って収める。第一章で伝説の分布と型を概説し、第二章では地域別に、各話へ場所・時代・出典・解説・参考書を添える。