法印と狐つき
どんな伝承か
大多喜の正宝院では、狐つきに憑かれた者を祓う祈祷が名高く、遠方からも頼みに来る者が絶えなかったという。これは天保より四代前のこの寺の法印が、狐から秘法を授かったことに由来すると伝わる。あるとき下総のある家でひどい狐つきが起こり、法印が祈祷を頼まれたが、狐はなかなか落ちず問答を重ねるばかりで、法印はついに困り果てた。人目を避けて狐に至誠を尽くして詫びると、狐は自らを一の宮玉前の使者「呼斑」と名乗り、法印の真心に感じて去っていったという。この時法印が書き記した祈祷の仕法書は、今もその家に伝えられているという。
原典より
大多喜の正寶院では、狐つきの附物を落す祈祷をして来れるが、甚だ効験があるといふので、遠近から頼みに来る。—— 日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・明治~昭和初期(推定)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・明治~昭和初期(推定))
藤沢衛彦編『日本伝説叢書 上総の巻』を全218話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。