五百雪駄の音を呼んだ万木のお福
どんな伝承か
「お福が通るげで、五百雪駄の音がする」と民謡に歌われた万木お福女は、その頃、万木城下で美人の名を謳われた娘であった。城下の娘たちは足袋屋・下駄屋の鼻緒をこぞって買い求め、われこそお福の面影を得ようとして、お福の行くところ、羨望のまなざしを注いだ。「五百雪駄の音がする」というほどにお福様のお通りだと城下の娘の評判が立ち、ついにこうした民謡が生まれたのだという。一説に、お福女の実の名はお亀で、おかめとお福が相通じるところからこう呼ばれたのだといい、もとは農家の女で、一度鎌倉に出て帰ってからは女侠のように振る舞ったので、鎌倉とも呼ばれている。
原典より
お福が通るげで、五百雪駄の音がする。—— 日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1917年(大正6年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1917年(大正6年))
『日本伝説叢書 上総の巻』は、藤沢衛彦が大正六年に編んだ上総国の伝説集である。夷隅・長生・山武・市原・君津の五郡にわたり、地名の由来、社寺の縁起、城と武将の事跡、大蛇や狐つきの怪異、俚謡や民間の風俗を、口碑や『総国誌』などの地誌から集める。巻頭に著者の序と緒言を置き、上総国と郡の名義を説いたのち、郡ごとに町村の所在を添えた見出しで一話ずつ並べる。