朽打塚
どんな伝承か
高山田の字に、朽打塚と言われ、源平の古戦場だったと伝えられるところがある。その昔の戦いで里見氏の将は北条氏に破られ、勇将たちがことごとく戦場の露と消えたという。いつの時代のことか、村の童たちが隠れんぼをしてこの古戦場で遊んでいると、どこからともなく戦場の喊声が聞こえ、馬蹄の音の気配がした。童たちは急に恐ろしくなり、木陰に隠れて息をひそめながら見ると、一騎当千と見える一対の将が組み合って離れず、矢は尽き刀は折れて倒れ、将兵が蟻のように見えた。童の一人が泣き出すと、すさまじかった戦声は夢の過ぎた跡のようにぴたと止み、そこには血の一滴も流れておらず、ただ、いつの時代のものとも知れない朽ち果てた一振りの刀の残骸が落ちていたという。
原典より
高山田の字に、朽打塚と言はれて、源・平の古戦場だつたと言はれるところがあるが、其の昔の戦ひに、里見氏の将は、北条氏に破られ、戦死し、悉く、戦場の露と消えた勇将知れずあつた。—— 日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・明治~昭和初期(推定)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・明治~昭和初期(推定))
藤沢衛彦編『日本伝説叢書 上総の巻』を全218話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。