藁人形を川に投げ込む松本の風神送り
どんな伝承か
松本の風神送りは陰暦二月の初めに行われた。この時期は風が北に変わり船を出す頃でもあるので、船頭たちは船にも風神送りをするという。疫病を村から送り出すという意味で、まず竹と藁で三尺あまりの人形を作って風神と呼び、当番の家から日暮れを待って若者たちが神輿を担ぎ、笛や太鼓を鳴らして囃しながら練り歩く。村の入口では松明を照らして悪魔払いを唱え、境の堤へ送る。目的地に着くと隣村の者と問答をし、決まりどおりに相手を負かして持ち物を奪い、形ばかりの喧嘩で打ちのめし、人形を逆さまにして川へ投げ込む。村へ戻った若者たちは直会を開いて歌い舞い、翌日に費用を各戸に割り当てて行事を終える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 下総の巻(藤澤衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 下総の巻』は、藤澤衛彦が編著し、大正七年の緒言と大正八年の序を添えた下総国の伝説集である。平将門・佐倉宗吾・真間の手児奈・累などを中心に、千葉県と茨城県西部にまたがる旧下総の城跡・寺社・墓・橋・井戸などにまつわる伝説を、地誌や古記録の引用を交えて収める。緒言で百七十九編を収めると述べ、国名の由来から始めて、話ごとに所在の町村名を付した見出しを立てて並べる。