山姥の出る森を開いた本城不知
どんな伝承か
本城不知は本城の集落の東北、当時の本城尋常小学校のあたり九百歩ほどの土地をいう。昔はうっそうとした森で、中に高さ一丈五尺の古い宮があったが由来は誰も知らなかった。船乗りでさえ近寄る者はなく、鳥を獲ろうと一歩でも踏み込めば胡麻粒のような蚊に無数にたかられて苦しむ。それでも構わず鳥を獲りに入ると、髪の長い山姥のような者が目の前に現れて怪しい光を放ち、鳥はもちろん人まで叩き殺すといわれた。明治十四、五年ごろに官有地の払い下げがあっても買い手がつかなかったが、本城の宮内某が安く引き受け、小宮を自分の屋敷の傍らへ移して祀り、跡を開墾して農業に成功しているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 下総の巻(藤澤衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 下総の巻』は、藤澤衛彦が編著し、大正七年の緒言と大正八年の序を添えた下総国の伝説集である。平将門・佐倉宗吾・真間の手児奈・累などを中心に、千葉県と茨城県西部にまたがる旧下総の城跡・寺社・墓・橋・井戸などにまつわる伝説を、地誌や古記録の引用を交えて収める。緒言で百七十九編を収めると述べ、国名の由来から始めて、話ごとに所在の町村名を付した見出しを立てて並べる。