頼朝の軍勢が千騎に満ちた千騎の森
どんな伝承か
源頼朝が丸の館を出て安房郡平群村大字犬掛を過ぎたときには、従う者は三百騎に過ぎなかったが、道すがら続々と味方に加わる者があり、千騎森のあたりの嶺へ登ったときには、すでに千騎に達していたので、この名が付いたと「房総志料」は伝える。しかし「増訂房総遊覧記」の著者嶺田楓江はこれを疑い、「東鑑」には頼朝は三百余騎で丸が館から東条へ赴いたとあるから、千騎の森の名は、長元三年正月に前上総介平忠常が反逆し、その勢一万余人が館山に旗を挙げた折の伝えによるものだろうと述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 安房の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 安房の巻』は、藤沢衛彦が大正八年に編んだ安房国(千葉県)の伝説集である。天富命の渡来や源頼朝・里見氏・日蓮にまつわる英雄伝説を中心に、社寺の縁起、風俗・信仰、船幽霊や一本足の蛸などの特異な伝承を、『安房志』『房総志料』などの地誌や寺伝・口碑から引いて収める。緒言と「安房国と牛」と題する序を巻頭に置き、鋸山から小湊まで各話に所在の郡村大字を添えて土地ごとに並べ、緒言では百八十六種を蒐集したと記す。