瀬戸ぶんぶん
どんな伝承か
昔、安房郡健田村大字瀬戸に一人の孝行娘があった。親は不治の目の病に難病を重ね、娘は家事農事を一身に引き受けて看護したが、暮らしは日に日に貧しくなった。ある時、親が大豆の粥を食べたいと言うので、娘は町へ出て大豆を乞うたが得られず、日暮れに、断られた家の裏棚に大豆が積まれていたのを思い出して物置へ忍び込んだ。折から夜回りの若い衆に泥棒と叫ばれ、用心棒で打たれて死んだ。死骸を家へ運ぶと、病んだ母も一目見たなり息絶えた。それから瀬戸村では大豆が育たず、芽が出るや否やぶんぶん蜂が飛んできて食い尽くす。隣村にはその蜂が来ないので、人々は孝女の祟りだと恐れ、以来田植の祭には隣村から大豆の振る舞いを受けることにしているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 安房の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・江戸~明治時代)
藤沢衛彦編『日本伝説叢書 安房の巻』を全186話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。