伊勢を侮って家を焼かれた長者
どんな伝承か
この長者の屋敷跡には「朝日てる夕日輝く萩の本に小判千両漆七桶」という歌が伝わり、浦戸の南浜には長者の糠塚がある。長者は伊勢大神宮に参詣した際、その宮居の質素なのに驚き、我が牛小屋にも及ばないと大言した。帰り道、長浜の東方五里の手結山まで来ると我が家の方角に大火が見えたが、今戻っても間に合わぬと言って裾をまくり尻をあぶった。家はことごとく焼け、長者はついに悶死したと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年))
『日本伝説名彙』は、柳田國男の指導のもとに日本放送協会が昭和二十四年に編んだ伝説の名彙である。全国の伝説を、その拠り所となる木・石・岩・橋・清水・淵・塚・坂・屋敷・地蔵などの地物の名ごとに集め、伝わる県郡村名を付して、郡誌・市町村誌や伝説集、民間伝承誌などの出典を括弧で示す。冒頭に柳田の「傳説のこと」を置き、木・石岩・水・塚・坂峠・祠堂の部に分けて、巻末に資料の解説と種類別索引を付す。