産所の子安石と安産の習わし
どんな伝承か
有馬神社の前に産所と呼ばれる場所があり、そこに高さ二尺ほどの自然石が据わっている。土地ではこれを子安石という。この里の女は産で苦しんだためしがないと伝え、産み月が近づくと自分から二の鳥居の前まで歩いていって、石に向かって声をあげたという。生まれれば竹の篦で臍の緒を切り、社前を流れる川で身を清め、菰敷坂で身支度を整えてから家へ帰る、そういう習わしであったと『有馬郡誌』は記している。
原典より
同村有馬神社の前に産所といふ處がある。—— 日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年))
『日本伝説名彙』は、柳田國男の指導のもとに日本放送協会が昭和二十四年に編んだ伝説の名彙である。全国の伝説を、その拠り所となる木・石・岩・橋・清水・淵・塚・坂・屋敷・地蔵などの地物の名ごとに集め、伝わる県郡村名を付して、郡誌・市町村誌や伝説集、民間伝承誌などの出典を括弧で示す。冒頭に柳田の「傳説のこと」を置き、木・石岩・水・塚・坂峠・祠堂の部に分けて、巻末に資料の解説と種類別索引を付す。