馬洗い淵のカッパの恩返しとかすりの着物
どんな伝承か
水上町のもとの横山集落で、利根川と武尊川の合流点から二百メートルほど上ったところに、馬洗い淵という場所があった。日中に馬を水に入れておき、夕方に連れ帰るのに使われていた淵である。ある日、林さんが馬を連れて行くと、木をくり抜いた馬の餌桶の中でピチャピチャと音がし、見るとカッパが入っていた。林さんはカッパを殺さずに川へ放してやった。するとその晩から毎晩、たらいの中に魚が入っているようになった。ところがある日、子どものかすりの着物を庭に干したまま取り込み忘れた。カッパはかすりが大嫌いで、その晩から来なくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。