提灯行列の夜に鳴るケヤキの音
どんな伝承か
1910年、日韓合併があった秋のこと、東京都八王子市の川口村の人々は五百もの提灯をつけ、楽隊を伴って賑やかに行列をした。話者の牛尾正三少年がその行列を見送っていると、行列が遠く行き過ぎたあと、大きなケヤキの木のあたりからどんちゃんという音が聞こえてきた。近寄って見ると、それは七、八尺ほどのケヤキの梢であり、年寄りたちは「天狗様の仕業だ」と語ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。