斧を当てた木こりを飛ばした天狗松
どんな伝承か
門前町には、きびょの大松と呼ばれる、幹回り五メートルもの大きな松がある。この松には昔から天狗が住んでいると言い伝えられてきた。あるとき木こりが伐り倒そうと斧を当てたところ、二千メートルほども飛ばされてしまったが、かすり傷ひとつ負わなかったという。それで松は今も見事な枝ぶりのまま残り、天狗松として人々に敬われている。つい近ごろまで、年に二、三回は、近くの田畑で働いていた人が笛や太鼓の音を聞いたといわれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。