月夜の杉木立に響いた天狗ばやし
どんな伝承か
羽黒山での話。道者の先達をつとめた帰り道、大満の小屋まで来て日が暮れ、前日の荒れ模様で疲れていたので泊まることにした。小屋の主人が出した濁り酒に酔って眠り、夜中に目を覚ますと月光が枕元まで差していた。水を飲みに勝手をのぞいたついでに下駄を突っかけて外へ出ると、杉木立の中からどこからともなく笛の音が聞こえ、囃子太鼓の響きも混じっていた。神子石の小屋の道者にしては遠すぎると音を頼りに歩くと、楽の音はぴたりとやんで二度と聞こえなかった。天狗ばやしだろうと語られたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。