東郷峠の老松と天狗に投げられた男
どんな伝承か
周防大島の東郷峠(土地の呼び名はトウゴンダオ)の上には老松があって、天狗の宿だと言われていた。歩くのが好きな筆者の知人が、夜中にこの峠を越えたことがある。東へ下っていくと道ばたに苔むした岩があり、そこまで来たところで急に気が遠くなった。何時間かたって我に返ると、下の田に落ちていた。本人は天狗に投げられたのだと筆者に語り、そういう目に遭ったのはその人一人ではないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。