刃渡りと火渡りを見せたガマ仙人
どんな伝承か
宮城県白石市小原猿鼻での聞き書きである。語り手が二十七、八歳で小坂峠を越えて馬方をしていた頃、ガマ仙人と呼ばれる天狗様がいた。刃を引いて危なくないようにした刀を差し、足駄をはいて「大天狗、小天狗、山越え、谷越え、沢の石はゴーロ、ゴロ」と唱えながら歩いていたという。あるとき、小原の者に知らぬと言われては困るからと、ただで術を見せてくれた。芋の入った煮え立つ湯に手を突っ込んで芋を取り出しても手は何ともなく、熾した炭火の上を渡っても火ぶくれ一つできない。最後は刃を上にして梯子を組み、手足をかけて上がったが、袴の裾はずたずたに切れても手足は切れなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。